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■我は我が運命の支配者にして、我が魂の船長なり。
自分などというものは実はない。まずはこれを受け入れる。人類という「脳」が70億ある。その1つなだけだ。これを感じる。「運命」を受け入れる。その時、「個性」が初めて光だす。「意思」を操ることができる。
■自分選んだ自分の色
ほんの少し前、料理が好きだという20歳の女の子が、自分探しと言って150万円払って料理教室に通い始めた。それだけのコストをかけるなら調理師学校へ行ったほうがいいのではと誰もが思った。そして、ねぎを切っている時包丁で左手の中指を切り、「料理ができなくなるから怪我をしたくない」と、その料理教室を辞めた。
■我は我が運命の支配者にして、我が魂の船長なり。
おそらく彼女は気づいている。
「私、頭からっぽなんだ」と。
自分探しはできたのだ。当初の目的は達成できた。でも、その感情には蓋をする。
そして、きっと傷ついた指を見つめながら、絆創膏を張り替えながら「私って傷つきやすいんだ」「もっと自分を大事にしよう」と、自分をいたわっているだろう。
それでも、この子の中では、自分探しは終わっていない。「私がやりたいことってなんだろう?」
一生見つけることはできないだろう。がんばって普通の人生を送ってほしい。
老婆心ながら少し思った。
■自分が登る山を見つけよ。自分が漕ぎ出す海を見つけよ。
このエピソードにはいろいろな含蓄がある。
意思。決意強さ。やり抜く力。
成長、練習、努力。
情熱、野心。
でも、この子の中で一番欠けているのは自分への誠実さだ。何かを途中で投げ出す、約束を破る、自分を裏切ること。自分の欲求を満たすことができない自分の魂に、辟易とする。自分を嫌いになる。
自分探しとは、自分を好きになる方法を探すことだということを、いつの日か、この子はわかるだろうか。